ふるつき

v(*'='*)v かに

l-torsion pointを生成元としたカーネルを持つ同種写像がl-isogenyになることの説明

伝わるようなタイトルを考えるのが難しすぎる!

同種写像計算の基本命題*1というやつがあって、詳しくは説明しないんですが主張としては、

(有限体上の)楕円曲線 Eを定義域とする同種写像 \phi: E \to E'(とその終域 E')は Eと代数閉包上の楕円曲線 E(\bar{\mathbb{F_p}})の有限部分群 Cから同型を除いて一意に定まり、 \ker \phi = Cである

というものです。

つまり、適当な楕円曲線と同種写像の核にしたい群があれば同種写像が決まります。さらにここで核にしている C素数位数なら、 Cの代わりにその生成元 Hだけあれば良いです(そしてVéluの公式などで E, Hから \phiを具体的に計算できます)。

この時 H l-torsion pointであれば、 \phi l-isogenyとなるのですが、その理屈がわからなくて考えたので説明します。


というわけで素数 lを位数とする適当な点 H \in E(\bar{\mathbb{F_p}})をとってきて、 Hが生成する巡回群 \langle H \rangleを核とする同種写像 \phiを求めたとします。

この時、 \deg \phi = \#\langle H \rangle = lが成り立ちます*2。なぜなら、 \ker \phi = \lbrace
H, 2H, \dots, (l-1)H ,lH \rbrace より \phi l個の根を持ち、 l個の根を持つためには \phi l次の多項式である必要があるからです。

従って、 l-torsion point  Hを生成元としたカーネルを持つ同種写像 \phi l-isogenyです

……という理屈で私は納得したけど、皆さんはどうですか。ミスってるよとか行間がデカすぎるとか、ここに厳密な証明書いてありますよとかあれば教えてください。

*1:初めてこれを知った https://joint.imi.kyushu-u.ac.jp/wp-content/uploads/2022/08/220802_03aikawa.pdf での呼称を使ってますが、もうちょっと名前っぽい名前がありそうな気がする

*2:書いてなかったけど \phiは有理多項式なので次数が定まります